Wi-Fi 6E ルーター製品ESD/EOS保護ソリューション

無線ネットワークの発展に合わせて、IEEEが2020年に発表した最新のWi-Fi 6EはWi-Fi 6の拡張版であり、Wi-Fi 6が元々対応していた2.4GHzと5GHzの周波数に加え、新たに6GHzが追加されています。その理由は現在使用されている2.4GHzおよび5GHzの製品が非常に多いことであり、常に通信の干渉および妨害の問題が発生しています。これを受けて、Wi-Fi 6E で新たに追加された6GHzの周波数はこの問題の解決が期待され、また、Wi-Fi 6Eは7つの160MHzチャンネルにも対応していますので、同時により高速の通信が可能になっています。通信速度においてはこれまでの最高の通信速度はであるWi-Fi 5の 6.9Gbpsから9.6Gbpsへ上昇していますので、今後、私たちは無線ネットワークを利用して高解像度の4K動画を視聴することができ、もっと快適にゲームを楽しむことができます。   

Wi-Fiバージョンのアップグレード、更新につれて、ルーター製品の性能もアップグレードが要求されています。ルーターには一般的にLAN、USB、Wi-Fiアンテナなどのインターフェースがあり、LANの通信速度もこれまでの1Gbps から2.5G/5Gbpsへアップグレードしています。   

ルーターは屋外に設置して使用する可能性があるため、EOSの干渉を受けやすいです。そのため、製品の研究開発エンジニアは電気回路の設計において、ESD/EOSの耐久性能のあるTVS保護用ダイオードを採用することが必要です。これがないと、EOSのエネルギーがシステムに干渉する際、ルーターのシステムが破壊される可能性があります。特に、LAN PHYでは最も発生しやすいです。半導体の製造工程がますます進化していますが、2.5G/5Gbpsの LAN PHYのESD/EOS耐久性能は1Gbpsの LAN PHYに全く及んでいません。そのため、製品設計時にPHY 側にESD/EOS耐久性能のある保護ユニットを導入することが主流になっています。ここではWi-Fi 6Eルーターに関するESD/EOS 保護ソリューションについてご紹介します。   

LANの保護は、図1のように線対線と線対地に分かれます。

図1：LAN ポートにおける線対線と線対地のTVSダイオード配置に関する推奨回路

2.5G/5Gbps LANの線対地の保護ユニットはAZ1243-04Fの使用をお勧めします。これは4チャンネルのTVSダイオードアレイであり、I/Oの寄生容量は0.5 pF (Typ値)のため、単体のESD耐久性能は接触放電モードで±25 kV、気中放電モードで ±27kVです。システムのESD保護効果が影響する最大のパラメータはESD クランプ電圧ですが、ESD=8kV時のクランプ電圧はわずか8.5Vです。   

2.5G/5Gbps LANの線対線の防護ユニットはAZ5B0S-01Fの使用をお勧めします。この防護ユニットの寄生容量はわずか0.18pF(Typ値)でありIEC61000-4-5 Lightning 7A(8/20μs)のIpp耐久性能があります。Ipp(8/20μs)が7Aの場合、TVSのサージクランプ電圧は4Vです。   

ルーターシステムでESDテストを行う場合、LAN PHY電源がESDに対して敏感である場合、システムがクラッシュする可能性があります。この場合、TVSダイオードはLAN PHY電源側の強力なESD保護効果があります。通常、LAN PHYの電圧は低電圧であり、1.8/2.5Vが多いですが、晶焱科技の対応するESD/EOS保護ソリューションをお選びになれます。表1をご参考ください。   

Wi-Fiが広範囲で利用されるようになるにつれて、製品設計上の初期段階でTVSダイオードを回路に組み込むことが必須になっていますが、以降のESD/EOSテスト不合格の問題を防止するだけではなく、市場におけるサージが原因の破損での修理や交換の問題を減らすことができます。

表1：Wi-Fi6Eルーターの理想的なESD/EOS保護ソリューション