USB-IFは2022年10月にUSB4 V2を次世代USBのストリーミング規格とすることを宣言し、EUは2024年より、USB Type-C コネクタを携帯電話やその他ポータブル製品の統一充電ポートとすることを決定しました。EU市場のニーズに対応すべく、まだType-Cポートに対応していない企業は、充電および情報通信インターフェースをType-Cポートに変更するため、市場では、この改革でUSB Type-Cポートを使用している製品数が増加することが予想されています。
近年は各オーディオプラットフォームの高密度ストリーミングの需要増加により、データセンターおよび周辺機器もデータ通信需要に対応して通信速度を増加することが求められています。そのため、USB-IFは導入から4年近く経つUSB4のバージョンをV2へアップグレードすることを発表しましたが、最大の変更はデータ通信速度が80 Gb/sへの増加です。ケーブル、コネクタおよびPCBの設計変更が好ましくない前提のもと、USB4 V2はUSB通信規格としていち早くパルス幅調整技術を導入しました。PAM-2の通信方式は既存の物理層の設計において信号減衰が過大だったため、ICによる補償で伝送損失の問題を解決することは難しく、また、PAM-4のアイパターンの高さが従来のNRZのわずか1/3であるため、受信側で信号を復元することが極めて難しく、ノイズの許容範囲が小さすぎます。そのため、全体のSNDR (Signal-to-Noise-and-Distortion Ratio)を考慮したうえで、PAM-3の通信を25.6 Gbaud/s対応の情報フローとすることで、各パルスの周期による情報量を2倍にして、通信周波数を増加できない状況で帯域幅を倍増することができます。信号の通信周波数を増加していないので、信号の通信距離は減衰の影響を受けず、引き続き既存の物理層の設計を取り入れることができます。USB4 V2は3進数のコード方式で通信を行う際、データ通信速度を25.6 GBaud/sから40.22 GBaud/s まで増加することができ、デュアルチャネルの通信速度が80Gbpsの超高速データ通信を実現できます(USB4 V2は図1参照)。

図1:USB4 V2 のロゴ
USB4 V2は高速接続の特性を利用して他の通信インターフェースを統合し、データ通信、高画質映像、高速充電などの要件に対応しています。今後は、ホスト側のチップがPC、NBなどの製品に配置され、同時にUSB ハブ、ドッキングなどの周辺機器の需要も増加します。USBが早くから受け入れられた主な要因はユーザーエクスペリエンスです。特に、プラグ&プレイ形式と優れた互換性は長期的な導入の大きな要因です。一般消費者は外部ストレージに対する高速アクセスの需要は、次世代のUSB4の利用の成長に貢献しています。例えば、外付けハードディスクやNASはUSB4 V2を導入することで、アクセス時間を短縮することができます。また、現在のノートパソコンとタブレットの設計では薄型化とシンプルな使いやすいスタイルが追求されているため、他のインターフェースは相対的に縮小され、エンタープライズユーザーは往々にしてドッキングでUSB4 V2に接続してHDMI、VGA、LANなどの通信を拡充する必要があることも、USB4 V2に成長機会をもたらしています。
晶焱科技は80Gbpsの高速通信による設計上のボトルネックに着目し、寄生容量がわずか0.18pFのシングルパスTVS AZ5B0S-01F (図2参照)を開発しました。これによって、通信パス上のインピーダンスによるシグナルインテグリティが変化する問題の発生を防止し、PAM-3のアイパターンの高さがNRZの通信方式の半分であるため、ノイズの耐久性を厳格化することが求められます。また、DFN0603P2Yの小型パッケージはPCB レイアウト時の設計の柔軟性が増し(図3参照)、クロストークの影響を許容範囲内に抑えることができます。その他、AZ5B0S-01Fの操作電圧2.0VはUSB Type-C alt モードのDP出力に対応し、帯電ガンの8kVの衝撃によるクランプ電圧はわずか5.5Vであるため、信号の品質を兼ね備えた信頼性の高い静電気保護ダイオードです。

図2:Type-C ESD/EOS ソリューションのパラメータ

図3:USB4 V2 Type-C ESD/EOSソリューションのレイアウト
さらに、Type-CはPD快速充電機能に対応しているため、VBUS は現在、ユーザーの多くが20V設計を導入していますが、Type-Cは毎日何度も抜き差しした後、構造のゆるみで斜め挿入してしまい、VBUS の隣接するCC、SBUへ誤接触で返品・修理したケースを耳にすることがあります。このような焼損による修理の問題を避けるべく、多くの製品メーカーは図らずも20Vショート試験を内部規定に定め、直流20Vによる焼損防止のため操作電圧がわずか5Vであることから晶焱科技が特別に開発したVrwm =5V、Vbr =26.5VのAZ5H25-01Bは、20Vのショート試験で誤動作が発生せず、TVSの焼損率を減少しました。
Type-Cの中で、USB2.0は返品・修理率が最も高いインターフェースでありTVSのIpp值の上昇が返品・修理率を減少することが市場によって証明されています。晶焱科技はこれを受けて、Ippを11Aまで高め、DFN1006P3Xのデュアルチャネルパッケージを採用したAZ5515-02Fをご用意しています。本製品は保護能力を高めつつ、お客様が求めるコンパクト設計の要件に対応しています。また、VBUS の保護ソリューションでは、晶焱科技はIppを50AのAZ4524-01Fをご用意しています。本製品は電源の抜き差しや電圧の不安定によるサージの危険を防止します。
USB4 V2 Type-C中の各信号ケーブルとVBUSについて、晶焱科技は最適なソリューションと市場での実績を生かした保護の提案を行っております。晶焱科技はこれからも次世代の保護ダイオードを開発し、目まぐるしく変化する高速通信において、お客様の新たな需要と挑戦に対応できることを確信しております。